はじめに

「この苗字を見たらこの地方」 が一目で分かる、 GeoGuesser 用の苗字勢力地図。 東日本と西日本では苗字構成がまったく違う。 飛騨山脈の親不知から関ヶ原を結ぶラインを境に、 東は佐藤・鈴木・高橋、 西は田中・山本・中村 が支配的になる。 さらに東北では佐藤・阿部・斎藤・及川・小野寺、 近畿では林、 九州南部では黒木・甲斐・日高・鮫島、 沖縄ではほぼ100%沖縄県内の比嘉・金城・大城などのローカル姓が並ぶ。 本記事は 全国TOP姓 (東西偏差大) + 県ピンポイント姓 あわせて 36苗字 で日本列島の名字分布を可視化する。

地図

地図の見方

  • 全苗字 : 各県のタイル上に円グラフで全36苗字の県内シェアを表示。
  • 個別苗字 : タイル上に苗字カラーの円。 円の大きさと数値は「県人口あたりの比率(%)」。 絶対人数ではないので、 鳥取・島根のような小県でも比率が高ければ大きく表示される。 0人の県は破線。
  • 操作 : ホイールで拡大縮小、 ドラッグで移動、 右下の +/−/⟲ ボタンも使える。 タイルクリックで詳細表示。
  • 配置 : テレビ天気予報・高校野球予選表風の格子レイアウト。 北海道・東京は1タイルに統合。 北海道・九州・四国は本州から少し離して地理感を出している。

載せた36苗字 (地域順)

北海道・東北系 (10姓)

苗字読み全国推計偏り
高橋たかはし約140万東北・北海道 で全国TOP3、 岩手・宮城で1位の県も
佐藤さとう約200万東北で圧倒的最強、 全国1位姓、 秋田・山形で県人口の4〜5%
阿部あべ約45万東北 (山形・秋田・福島) で偏在、 北海道にも
斎藤さいとう約60万東北・新潟 に多い、 庄内・佐渡
及川おいかわ約6万岩手 ほぼ独占。 奥州・気仙郡の地名「老川 (おいかわ)」 由来で、 三陸沿岸 (気仙沼〜釜石) の藤原系武士が名乗ったのが起点
小野寺おのでら約8万岩手・宮城 中心、 東北限定的
千葉ちば約14万岩手 で県人口比4%、 「千葉県より岩手に多い」で有名
菅野かんの/すげの約6万福島 中心、 東北全般に拡散
東海林とうかいりん/しょうじ約1万山形 (庄内) ほぼ独占。 庄内・関所沢町の「東海林」 という地名・荘園名が起源で、 庄司 (荘園管理人) を世襲したことから「しょうじ」 と読む例も派生
本間ほんま約5万山形・新潟・北海道 に偏在、 庄内・佐渡・道央入植

関東・中部 (2姓)

苗字読み全国推計偏り
鈴木すずき約180万静岡で1位、 関東・東海ベルト
渡辺わたなべ約110万関東・新潟、 渡辺氏の北陸移住に由来

西日本広域 (2姓)

苗字読み全国推計偏り
田中たなか約130万西日本広域 (近畿〜中国・四国〜九州)、 鳥取・島根・香川などで比率上位
中村なかむら約105万西日本全般・特に九州、 福岡で多い

近畿 (2姓)

苗字読み全国推計偏り
山本やまもと約110万近畿・北陸・四国・中国 に偏在、 富山では1位
はやし約55万近畿 集中、 大阪・京都・兵庫で目立つ

四国 (2姓)

苗字読み全国推計偏り
山内やまうち/やまのうち約6万高知 中心、 土佐山内家由来
公文くもん約2.5万高知 ほぼ独占、 知名度は教室で全国区

九州 (5姓)

苗字読み全国推計偏り
黒木くろき約12万宮崎 で4.5万人、 宮崎の地域1位姓。 日向国 (現宮崎県) の地名「黒木」 と、 平家落人伝承を持つ椎葉村など南九州の山間集落が分布の中心になっている
日高ひだか約10万宮崎・鹿児島 に集中
甲斐かい約9万宮崎 中心、 大分にも
鮫島さめじま約4万鹿児島 で2.5万人 (県内シェア60%超)
川畑かわばた約3万鹿児島 で1.8万人 (県内シェア60%超)

沖縄 (13姓)

苗字読み全国推計偏り
比嘉ひが約5万沖縄 1位、 ほぼ100%沖縄県内
金城きんじょう約5万沖縄 2位、 ほぼ100%沖縄県内
大城おおしろ約4.7万沖縄 3位、 ほぼ100%沖縄県内
上原うえはら約7万沖縄、 本土にも一部
宮城みやぐすく/みやぎ約7万沖縄、 沖縄では「みやぐすく」読み
新垣あらかき約3万沖縄 ほぼ100%
玉城たまき/たましろ約2.8万沖縄 ほぼ100%
平良たいら約2.8万沖縄 「たいら」読みで沖縄ほぼ確定
島袋しまぶくろ約2.5万沖縄 独特
知念ちねん約2.2万沖縄 ローカル
山城やましろ約2.2万沖縄 独特の読み
仲宗根なかそね約2万沖縄 独特
又吉またよし約1.6万沖縄 ローカル

東西の境界線

苗字の東西分布の境界は、 日本海側が新潟・富山の親不知 (飛騨山脈が日本海に突き出した断崖)、 太平洋側が岐阜・関ヶ原 あたり。 この線で「佐藤・鈴木が多い東日本」と「田中・山本・中村が多い西日本」が分かれる。 古くは交通の難所だった親不知が文化の境界として残ったかたち。

例外として 渡辺は新潟県で多い。 これは古代の渡辺津 (現在の大阪) を根拠地とした渡辺氏が、 戦国期に北陸へ移った歴史的経緯に由来する。 名字の分布からは日本の歴史の足跡が読み取れる。

地域判断

人口比モードで個別苗字を選ぶと、 タイル上の円の大きさが「県人口に対する比率」で表示されるため、 東日本/西日本ベルト・東北濃淡・近畿集中・沖縄独占 といった地域偏差が一目で見える。

  • 北海道・東北の太いベルト → 佐藤・高橋・阿部・斎藤
  • 岩手だけ太い → 及川・小野寺・千葉
  • 福島・宮城が中心 → 菅野
  • 山形だけ突出 → 東海林・本間
  • 関東+静岡が太い → 鈴木
  • 関東+新潟が太い → 渡辺
  • 西日本ベルト → 田中・中村・山本
  • 近畿だけ太い → 林
  • 高知だけ太い → 山内・公文
  • 宮崎・鹿児島が太い → 黒木・甲斐・日高・鮫島・川畑
  • 沖縄だけ突出 (13姓) → 比嘉・金城・大城・上原・宮城・新垣・玉城・平良・島袋・知念・山城・仲宗根・又吉

対象選定の考え方

本記事の 36苗字は 2グループから選定:

1. 全国TOP姓のうち地域偏差が大きいもの (10姓)

  • 東日本系 4: 佐藤・鈴木・高橋・渡辺
  • 西日本系 4: 田中・山本・中村・林
  • 東北系 2: 阿部・斎藤

2. 県・地域にピンポイントで偏在する姓 (26姓)

  • 沖縄系 13、 南九州系 5、 東北系 5、 四国系 2、 山形系 1

「全国分散していて地域判定に使えない」 姓 (加藤・小林・佐々木・前田・山下・西村・工藤・河野・服部・三浦 など) は今回除外している。 → これらは全国均一に近い分布のため、 偏在指数 (TOP県の人口比 ÷ 全国平均) が低く、 個別チャートを出しても「どの県でも一定数いる」 という同じ絵になってしまうので、 GeoGuesser 用途として情報量が少ないため対象外とした。

データソース

  • 全国概数: 名字由来net (myoji-yurai.net)、 全国苗字統計、 公開ランキング
  • 沖縄上位の実数: 名字由来net 都道府県別ランキング (沖縄県) の上位順
  • 都道府県別人数は 独自推計 (発祥地・地域偏重・人口比を組み合わせた配分、 全国概数に整合)。 月次で動く実数ではないため目安として扱う

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